脾臓炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor of the spleen)は、その名の通り脾臓にできる腫瘍のような病変ですが、悪性腫瘍ではなく良性の病気です。
脾臓に限らず、肺、眼窩、消化管など様々な臓器に発生することが知られています。
病理学的には、非特異的な炎症と間葉組織の修復が特徴で、様々な種類の細胞(リンパ球、形質細胞、組織球など)が混在し、腫瘍のような塊を作ります。
脾臓炎症性偽腫瘍の原因
詳しい原因はわかっていませんが、以下のものが原因として考えられています。
感染: 細菌感染やウイルス感染
自己免疫疾患: 特定の自己免疫疾患との関連が指摘されることがあります。
外傷: 脾臓への外傷が引き金となる場合もあります。
脾臓炎症性偽腫瘍の症状
多くの場合、自覚症状はありませんが、腫瘍が大きくなると、以下の症状が現れることがあります。
腹部膨満感: 腫瘍が大きくなることで腹部が膨らむ
痛み: 腫瘍が大きくなったり、周りの臓器を圧迫したりすることで痛みを感じることがあります。
食欲不振: 腫瘍が胃を圧迫することで食欲が落ちる
体重減少: 食欲不振や消化器症状を伴う場合に体重が減少することがあります。
脾臓炎症性偽腫瘍の診断
脾臓炎症性偽腫瘍の診断は、画像検査と組織検査を組み合わせて行われます。
画像検査:
CTスキャン: 脾臓に腫瘍のような影が認められます。
MRI: CTスキャンよりも詳細な画像が得られます。
超音波検査: 腫瘍の大きさや硬さなどを評価することができます。
生検: 腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で観察します。
脾臓摘出術: 腫瘍が大きい場合や悪性腫瘍との鑑別が困難な場合は、脾臓を摘出して診断します。
脾臓炎症性偽腫瘍の治療
脾臓炎症性偽腫瘍の治療は、腫瘍の大きさ、症状、患者の年齢などによって異なります。
経過観察: 小さな腫瘍で症状がない場合は、定期的に画像検査を行いながら経過を観察することがあります。
薬物療法: ステロイド剤などの薬物療法が有効な場合もあります。
手術: 腫瘍が大きく、症状がある場合や悪性腫瘍との鑑別が困難な場合は、脾臓を摘出する手術が行われます。
脾臓炎症性偽腫瘍は、良性の病気ですが、悪性腫瘍との鑑別が難しい場合があります。早期に診断し、適切な治療を受けることが大切です。